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骨盤矯正について

骨盤矯正とゆがみについて

 いまや「骨盤のゆがみ」は女性を中心に多くの人に知られる問題となっています。 これだけ広まった理由は見た目の問題はもちろんですが、 冷えや下半身太り・腰痛などの様々なからだの問題と関連があると考えられているからでしょう。

 では、そもそも骨盤がゆがんでいる状態とはどのような状態なのでしょうか?
 又、本当に健康を害する事があるのでしょうか?

 というわけで、ここでは骨盤のゆがみについて詳しく解説していきましょう。

骨盤のゆがみには二週類ある

 そもそも骨盤がゆがんだ状態とは、どのような状態なのでしょうか。世間では様々な解説がなされていますが、 それらを大きくまとめると「骨盤が大きく見える状態」「骨盤の形が崩れた状態」の2つに分けられると思います。「骨盤が大きく見える状態」とは、鏡などで自分を見た時、骨盤に相当する部分(お尻)がやたらと大きく見える状態です。 もう一つの「骨盤の形が崩れた状態」とは、骨盤の左右の高さが異なっているなど、左右非対称に見えている状態です。

 これらは性質にも違いがありますので、個別に解説していきましょう。

骨盤はゆがむと大きく見えるようになる?

骨盤が大きく見えるゆがみ

 最初は、骨盤の大きく見えるゆがみについて紹介します。骨盤周りだけが一回り大きく見えて、それに合わせてお尻も大きく見えるようになった状態(でっちりなんて言い方もありますね)です。

 何故、このような状態になるのでしょうか。その原因についてネットや書籍などで調べてみると、「骨盤が外側に広がる事により大きく見えるようになる」と説明しているものが多いようです。そして、そのような考えに基づいた骨盤を締める目的の矯正器具も多数販売されています。

 しかし、この考え方は、基本的に間違っていると言えます。そう言える理由は、骨盤の関節構造にあります。

 上図は骨盤の関節を模式的に示した図です。図のように、骨盤の関節は前後に傾く動きをする形をしています。基本的に、骨は関節の形に合った方向にしか動きません。例えば膝の関節は、ちょう番のような形をしているので横には動く事はできません。同様に骨盤もその関節の形から、前後に傾くような動きしか出来ないのです。(もちろん妊娠出産時は別です。これについては後述します。)

 しかし、このような基本的な事実が無視され、「骨盤は外に広がるように動く」と世間で広く認知されているのは何故でしょうか。 その理由は、骨盤が前に傾くと、実際に外側に広がったように"見える"からです。図で説明しましょう。

 上図左は、骨盤の形状を模式的に表したものです。骨盤の形を簡単に言うと、縁の広くなったコップのような円錐形です。このような形が前に傾くと、どう見えるようになるのでしょうか。

  骨盤が傾く事で広がった上縁が正面に向いてきて、骨盤が外に広がっているように見えるのが上図からわかると思います。 このように、実際に外側に広がっていなくても、骨盤が前に傾くとそう見えてくるのです。つまり、骨盤の大きくなるゆがみとは、骨盤が前に傾いた状態なのです。さらに下の写真を見て下さい。

 上は、骨盤が前に傾くゆがみのある方を横から見た実際の写真です。お尻を見ると、骨盤が前に傾いた事で後ろに突き出てきている事がわかります。つまり、お尻が大きく見えるようになる(でっちりになる)のも、骨盤が前に傾いた事が原因なのです。

 さらに骨盤が前に傾いた影響で、背中全体が反り返り、首から肩も丸くなっている事がわかります。この姿勢と骨盤のゆがみの関係については、後ほど詳しく解説します。

骨盤の形の崩れるゆがみ

 次は、骨盤の形の崩れるゆがみです。

 上図のように、正面から見た時に左右の骨盤の高さが明らかに異なるのがわかりやすい特徴です。このように見える理由は、実際に骨盤が傾いたからでなく骨盤がねじれたからです。先も解説したように、骨は関節の形にあった動きしかできません。骨盤はその関節のかたちから前後に傾く事しかできませんが、左右それぞれ逆に傾く事はできます。下図を見てみましょう。

 骨盤がねじれた状態になると、正面から見た時には骨盤の高さが上下しているように見えてきます(上図一番左に注目)。鏡は立体を平面にしてしまうので、自分で鏡を見ただけでは骨盤のねじれに気付く事はまずありません。その一方、骨盤の上下は鏡で見てわかりやすい為、ゆがみのある本人は、骨盤のねじれには気付かずに傾いていると勘違いしている場合がほとんどです。

 又、骨盤以外の影響で、骨盤がゆがんで見えている場合もよくあります。 例えば腰の背骨がゆがむと、それに連続した構造である骨盤もゆがんで見えてきます(下図参照)。この場合、骨盤そのものが主体で変形したわけではありませんから、正確には骨盤のゆがみとは言えませんが、そう見える事に変わりありませんし、からだへの影響もほぼ同じですから、分けて考える必要はさほどありません※1

 以上、ここまで具体的な骨盤のゆがみの形について解説しました。これら2つのゆがみは、単体で発生する時もありますが、多くは同時に発生します。つまり「骨盤が前に傾きつつ、ねじれた状態」が、ほとんどの人に見られる骨盤のゆがみの実態です。又、2つのゆがみに共通しているのは、「見た目と実際の変形は違う」という点です。 悪い姿勢も同様ですが、見た目にだまされすぎないよう注意が必要です。

骨盤のゆがみによる症状

 骨盤のゆがみは見た目だけの問題ではなく、様々なからだの問題と関連づけられる事が多いようです。 実際、骨盤のゆがみは様々な症状を引き起こします。ここでは、関連性の高い症状をいくつか紹介します。

  • 腰痛・股関節のつけねの痛み
  • 下半身のむくみ・冷え
  • 下腹がぽっこり太ってくる
  • 便秘・下痢など消化器系の問題

腰痛・そけい部(股関節のつけね)の痛み
 骨盤がゆがんで前に傾くと、腰のつけねにストレスが集中して、慢性的な腰痛になりやすくなりす。又、股関節のつけね(そけい部)と足の腱にも同様にストレスが集中して痛みが出るようになります。これに骨盤のねじれも加わると、症状は一側に集中して、さらに強い痛みを引き起こす事になります。

下腹がぽっこり太ってくる
 骨盤が前に傾く事で、下腹が外に押し出されてきます。

 上図のように、コップから水をこぼれるように骨盤から下腹がはみ出てくる事が原因です。

下半身のむくみ・冷え
 ぽっこりした下腹は見た目だけの問題ではありません。下腹が出るとお腹の圧力も下がる為、下半身の循環が悪くなり、むくみ・冷えの症状となります。又、お腹の筋力も弱まる為、補助的にふくらはぎが緊張する事も症状を強める要因です。さらに詳しくは「悪い姿勢と下半身のむくみ・冷え」の章をご覧下さい。

便秘・下痢など消化器系の問題
 お腹の圧力が下がると、胃腸などの消化器系の働きも低下します。それにより、便秘や下痢になりやすくなる事があります。


 これら症状の中でも、特に多く骨盤のゆがみにより発症するのは腰痛です。明らかに骨盤がゆがんでいて原因のはっきりしない慢性的な腰痛に悩まされていてるならば、その可能性は高いと言っていいでしょう。

骨盤のゆがむ原因と悪い姿勢との関係

 次は骨盤のゆがむ原因について考えてみましょう。まずは、わかりやすい原因を3つ上げてみます。

妊娠・出産
 妊娠・出産時のストレスで骨盤がゆがみます。これについてはこの後、詳しく解説します。

いつも体重を片足にかけている
 長時間立っていたりする時に、片足だけに体重をかけるクセがあると、体重がかかっている側の骨盤は持ち上がってねじれ、その形が固定してしまう事があります。

座り方が悪い
 座って足を組んでいると、組んだ側の骨盤が後方にねじれる為、形が固定してしまう場合があります。


 これら3つの原因は、あくまで直接的でわかりやすいものです。実際は、ほとんどの場合原因はあいまいで、いつどうしてそうなったのか明確にはわかりません。しかし、私の臨床経験からはっきり言えるのは、骨盤のゆがみは悪い姿勢と深い関係があるという事です。 実際、私の治療室での患者さんの多くは、骨盤のゆがみがあれば姿勢も悪く、又、その逆で悪い姿勢であるならば骨盤もゆがんでいる事が多いのです。このような事から、骨盤のゆがみと悪い姿勢はほぼセットで存在しているとは私自身は考えてます。そう言える理由は以下の2つです。

悪い姿勢になると骨盤は反り返る
 骨盤のゆがみの変形の一つは「骨盤が前に傾いた」状態だと解説しましたが、悪い姿勢になっても骨盤は必ず前に傾きます。下図を見て下さい。

 上図は3種類の悪い姿勢です。一番右が正しい姿勢。その次から、猫背・腰突き出し姿勢・胸つきだし姿勢です。それぞれの骨盤に注目して下さい。一番右の正しい姿勢と比較すると、悪い姿勢全てで反り腰になっている事がわかります(図中の赤線を参照)。悪い姿勢の程度に比例して骨盤も前に傾きますから、悪い姿勢と骨盤のゆがみは比例関係にあるといってもよいのです。

悪い姿勢になるとからだはねじれる
 もう一つのゆがみは骨盤のねじれの変形ですが、これも悪い姿勢と深い関連性があります。悪い姿勢になると骨盤を含めたからだ全体がねじれやすくなるからです。何故そうなるか、まずは下図を見てください。

 上図は正しい姿勢と悪い姿勢を並べた図です。図中の線は、からだの動きの中心軸を表しています。左の正しい姿勢では、軸は直線状ですが、右の悪い姿勢はジグザク状の線になっています。仮にこの軸線上に「ねじる動き」をしたと考えてみましょう。正しい姿勢は直線状の軸ですから、まんべんなく全体にねじれるでしょう。しかし、悪い姿勢はジグザク状の軸線です。ねじれの力はジクザグの頂点部分に集中しやすい為、ねじれがからだに残ってしまいやすいのです。そして骨盤は、ねじれの残りやすいジクザグの頂点位置に必ずと言っていいほど位置しています。以上の事から、骨盤のねじれも悪い姿勢と比例関係になっている事が多いのです。


 このように、骨盤のゆがみは悪い姿勢と密接に関係しています。もちろん、悪い姿勢と関係なく直接骨盤がゆがむ場合もあります。 しかしその場合、今度は骨盤のゆがみの影響で姿勢が悪くなります。つまり、骨盤のゆがみと悪い姿勢は「にわとりとたまご」のような関係で、どちらが原因かは判断しずらく、お互いに関連しあって悪化していくものだと私は考えていまとす。

骨盤矯正と姿勢矯正

 では、骨盤のゆがみを矯正するにはどうすればよいのでしょうか。 単純に考えれば、骨盤のねじれと傾きを正せば良い、という事になります。 実際、そうした骨盤の矯正方法は多数あるでしょう。しかし実際の所、骨盤"だけ"を矯正する事に意味はあるのでしょうか。 先にも解説したように、からだの一部にゆがみができると、それは必ず全身に影響します。 つまり、骨盤がゆがんでいれば、必ず姿勢も崩れますし、逆に悪い姿勢であるならば、必ず骨盤もみゆがむわけです。 ですから、骨盤"だけ"を矯正しても、他の部位がゆがんだままならば、当然、すぐに元の状態に戻ってしまいます。

 つまり結局は、姿勢も含めた全体のゆがみを矯正しないとダメだ、というのが私の考えです。 ですから、私の治療室では骨盤だけ矯正するという事はまずありません。必ず、体全体を矯正しながら骨盤の矯正もします。 そうする事で、長い目でみれば、長期的にゆがみのない状態を維持出来るのです。

妊娠・出産と骨盤のゆがみ

 最後に、骨盤のゆがみと妊娠・出産の関係について補足しておきましょう。

 骨盤のゆがみは女性の妊娠・出産に関連づけられている場合がほとんどです。実際、私の治療室でも「出産後、骨盤の状態が心配です。」 という問い合わせは数多くあります。これは、赤ちゃんの生まれる時に骨盤が外側に広がる為、産後も骨盤が広がったままになってしまう事を心配される方が多いからでしょう。

 しかし、このような状態になる事を過剰に心配する必要はありません。まず、そうなる確率はかなり"まれ"です。又、仮にそうなったとしたら、それは「ゆがみ」ではなく恥骨剥離(ちこつはくり)という骨盤の脱臼をともなったれっきとしたケガ(病気)です。通常は骨盤(恥骨)に強い痛みがあり、歩行も困難になります。ですから、産後そのような強い痛みが出ていなければ、心配する必要はほとんどないのです。

 しかしその一方、妊娠・出産をきっかけに骨盤がゆがみやすいのは本当の話です。具体的には、骨盤が前に傾いたまま元に戻らなくなるのです。まずは、下の写真をご覧下さい。

 上の写真は、産後から慢性的な腰痛に悩まされるようになった患者さんの姿勢写真です。骨盤が大きく前に傾いているのがおわかりでしょうか。 この方のように産後骨盤が前に傾いてしまう事は、めずらしい事ではありません。そうなってしまう原因は、2つあります。

赤ちゃんの体重を支える為
 妊婦さんにとっておなかにいる赤ちゃんの体重は大きな負担です。例えるなら、お腹に"重り"をつけているようなものですから、 通常の姿勢でいるとからだの重心は崩れてしまいます。 そこで、骨盤を前に倒す事で崩れた重心を安定させようとからだは働きます。下の図をご覧ください。

 骨盤の前倒しは、テコの支点をずらすのと同様の効果のある事が上図からお解り頂けるでしょうか。 もちろん、これは自然な現象ですから、「ゆがみ」ではありません。 通常、産後は元の正常な状態に戻ります。しかし、産後のからだの変化に対応する事ができず、骨盤が前に傾いたままの状態になってしまうケースが多くあるのです。

腹筋周りの筋力の低下
 妊娠によってお腹が大きくなって姿勢が変化すると、からだを支える筋肉のバランスも大きく変化します。具体的には、腹筋は弱まり、背筋でからだを支えるようになります。 出産して元の姿勢に戻れば筋肉の働きも元に戻るのですが、からだの使い方のクセが残り、産後も背筋でからだを支え続けてしまう事があります。そうなると、結果として骨盤は前に傾いたままになってしまいます。


 このように、妊娠・出産は、骨盤の前傾するゆがみ(骨盤の大きく見えるゆがみ)と深く関係しています。産後もゆがんだ状態のままでいると、先例の写真のような状態になってしまう場合があるのです。このような事例は、妊娠前も姿勢の悪かった方に多くみられる傾向がありますので、思い当たる方は注意が必要です。

 もちろん、このような骨盤のゆがみは、前述した骨盤が広がったままになる状態とは異なり病気やケガではありませんから、さほど緊急性はありません。産後数ヶ月はゆっくり過ごして、からだがある程度安定してから改善を試みるのが良いでしょう。

まとめ

最後にまとめです。

  • 骨盤のゆがみには「骨盤の大きく見える状態」「骨盤の形が崩れた状態」の二種類がある。
  • 骨盤が大きく見えるのは、骨盤が前に傾いたから。
  • 骨盤の形が崩れて見えるのは、骨盤がねじれていたり、背骨がゆがんでいたりする事が原因。
  • 骨盤がゆがむと様々なからだの問題がおきる。一番多いのは腰痛。
  • 骨盤のゆがみと悪い姿勢は、にわとりとたまごのような関係。だから骨盤だけ矯正しても元に戻ってしまう。悪い姿勢を含め全体を矯正する事が大事。
  • 骨盤は妊娠・出産が原因でゆがむ場合が多い。しかし、産後すぐにあわてる必要はない。からだの状態が安定する数ヶ月過ぎてからでも十分改善に間に合う。


補足メモ

  • ※1 骨盤の関節についてはもっと根本的な議論があります。「本当に骨盤の関節は動くのか」という議論です。 そもそも骨盤の関節が大きく動いてしまっては体重を安定して保持する事はできません。 その為、骨盤の関節の表面はゴツゴツしているだけでなく靭帯で強く固定されています。さらに、年齢とともに骨盤の関節は固着してほとんど動かなくなるとも言われています。 実際の骨盤の動きを計測したある研究では、骨盤の動く範囲は数ミリに過ぎないという結果も出ています。 このような事実から、骨盤はその周辺の関節(主に背骨と仙骨)が動いた事で可動しているように見えているだけ、というのが事実かもしれません(私自身はその可能性が高いと考えています)。 しかし本文は一般の方向けのものである為、混乱をまねく記述は避けました。 又、からだは全体で一つである為、実際に動いているのが骨盤であれ背骨であれ、そこでおきる現象にあまり変わりはないというのも記述を避けた理由の一つです。
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